古代より敦賀は日本海の海路と北陸道の陸路から畿内への結節の町だった。しかし、明治維新によって政治・経済の中心が東京に移行し、日本海側の多くの港町は衰退・消滅していったが、敦賀は明治政府の近代国家建設のもと、大陸への重要港として未曽有の発展・繁栄した。その繁栄ゆえに先の大戦で港と中心街は灰塵に帰した。戦後、海運から陸運、モータリゼーションの進展によって敦賀の町は大きく変容した。また、原子力発電所立地都市としての顔を見せるが、東電福島第一原子力発電所の事故は敦賀を揺るがせ続けている。敦賀はいま模索を続けている。
敦賀の盛衰
   陸路と海路が交差する敦賀の盛衰はその両者の変容によって繰り返された。また、太平洋側にもっとも近い日本海側の町(半日本海的)として、特異な歴史を刻んだ。  
  古代 日本海交流とヤマト朝廷の結節点  
海 路(水運)  陸 路(陸運) 
古代   
  中・近世 商品流通の全国化  
中継商業の繁栄  人馬の街道
 
  近代 近代国家建設  
大陸経営  鉄道敷設・車両用道路開削整備
     
戦後の変遷
  特異な歴史を刻んだ敦賀はそれ故に、太平洋戦争末期、日本海側で最初に空襲を受けた。そして、戦前から戦後の社会変化とともに敦賀は一変していった。  
  戦後高度経済成長・モータリーぜーションの進展  
 
戦後の東西冷戦、太平洋側の工業化進展によって、日本海側の「裏日本化」が進み、敦賀港の相対的地位は低下していった。並行して、市街地も港中心から旧市街地(神楽・本町)へ、そして拡散していった。 戦後復興、そして昭和40年代の本格的な経済の高度成長以前までは、鉄道貨物が物流の主役であったが、モータリゼーションの進展はめざましく、道路のトンネル開通が進められた。そして、国道、各地方道の舗装、幅員の拡大、高速道路の建設が進み、いつしか車が貨物輸送の主役になっていった。 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、発電所の再稼働停止・定期検査中断・3.4号炉工事中断による影響は発電所関係会社の人員引き揚げ、発電所取引の激減などになっている。敦賀住民の多くは「脱原発」の危機意識より経済の停滞を懸念している。原子力発電所立地地域として今後の景気浮揚は不透明となっている。
敦賀港中心からの脱却 核家族化と少子高齢社会 中継点から通過点化 原子力発電所の不透明化と財源減少
     
IT社会の進展
交通の要地  自然と共生 歴 史  
IT(Information Technology)の驚異的な進展はあらゆる分野に未曾有の変革をもたらせている。世界のグローバル化や通販によるショッピング等、大都市と地方の格差を減少させ、敦賀からの情報発信もドラステイツクな変革的な手法が可能である。 高速交通ネットワークが進展し、北陸新幹線など鉄道事情が変化しても、敦賀は交通の要地にある。関西・中京圏にも近く、表日本と裏日本の中間にあり、「半裏日本」的位置にある。 三方を山に囲まれ、海に面する敦賀、自然は至近にある。人口規模も7万人、職住近接し、日常生活も隣接する他都市に依存せず、大都市の衛星都市とは異なる地方独立型の要件を備えている。 古い敦賀の歴史は、その地理的要件による。その特異さは日本歴史の変化とともに変遷した。敦賀の歴史のありのままを次世代に伝え、敦賀のこれからの指針にしなければならない。
都会と田舎と敦賀
都 会 敦 賀 田 舎
高い家賃・非人間的住居環境  適当な家賃・住居環境  過疎化・空き家 
やりがいのある仕事  やりがいのある仕事が少ない  雇用の機会なし 
職住の隔離  職住近接  職住同一 
住居地域内日常性・衛星都市 地域内日常性・地方独立型都市  不十分な日常性・孤立した村々 
自然から隔離 簡単に山・海や公園にたどり着ける  自然の美しさ  
壮大な建築群・地下街・かすんだ空  中・低家屋・澄んだ空気と水  手付かずの土地・新鮮な空気  
群衆の中の孤独  血縁・地縁関係  血縁 
ドラステイツクな歴史 古く特異な地域史  古く単調な集落の歴史 

地方独自(立)型の町へ
  敦賀は他の地方都市と画した独自の側面を持っていた。しかし、時代の変容は町を変える。IT社会の進展は未曾有の社会を現出させるだろう。敦賀も自ら主体的に変わらなければならない。この町には、過去の中にも、これからにも「独自の町」作りに必要な資産がある。  
敦賀を舞台にした特異な歴史を語る。 
「小京都」と言われる多くの町には、現存する歴史的建造物があり、伝統的な工芸等がある。敦賀には少ない。しかしAR(拡張現実)は歴史を語るに有用な手法である。敦賀の古く、特異な歴史を画像・動画で表現できる。(一部戦前敦賀港のARアプリを市において作成している。)残った数少ない歴史建造物を利用した、過去の繁栄を懐古するだけでなく、お国自慢でもなく、歴史の有りのままを語り、「歴史の町敦賀」を発信する。
交通の要地を活かしたPA建設+敦賀きらめき温泉リラポート
時代は海運から陸運に比重が移ったとしても、敦賀は交通の要地である。敦賀ICを人的・物的流通の拠点とし、次世代の新しい「ターミナルの町」実現が可能である。
身近な自然
地方都市の快適なくらしには、産業振興は言わずもがなであるが、自然との共生が不可欠な条件となる。より身近なものにするために、公園・野山の遊歩道・登山道などの整備があるが、ベースには第一産業(漁業・農業等)の振興が必須となる。

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