プロメーテウス像
(ルーブル美術館蔵)
ギリシャ神話、プロメーテウスはゼウスの命令に背きながらも、人類が幸せになると信じて天界の火を与えた。人類は火を基盤とした文明や技術など多くの恩恵を受けた。しかし、一つ間違えれば全てを焼き尽くす恐ろしい火となる。ウランやプロトニウムの核分裂、放射性物資の崩壊などの核融合によって作り出される原子力核エネルギーーは、化石燃料の燃焼によるものに比して桁違いに大きい。近代国家はより大きなエネルギーを軍事、産業両面で開発を進めている。日本は唯一の被爆国ながら、原子力を平和利用として開発してきた。1970年代の世界の経済を震撼させたオイルショックを機に、省エネルギーの技術開発とともに原子力発電が国家政策として進められた。そして、原子力発電所建設の立地は市町村に財政的・産業的に大きな変貌をもたらした。敦賀には原子力発電所のパイオニア日本原子力発電所(株)が商用炉一号炉が敦賀半島に建設され、大阪万博に電気が送られた。
 
誘致と交付金・寄附金
 
日本原電敦賀発電所(敦賀市浦底)
日本原子力発電所kk
 わが国の原子力開発は1956年(昭和31年)「原子力基本法」が施行され、わが国の原子力開発の法的体制は整った。発電所としては電力九社などで日本原子力発電所株式会社が1957年(昭和32年)1月1日設立された。日本原電は茨城県東海村についで商用二号炉の建設を福井県で計画した。1962年(昭和37年)川西町で建設は岩盤の有無により不適当となり、敦賀市の半島浦底地域での建設が決定した。発電量30万kw、総工費400億円と言われた大事業の誘致には、県、敦賀市議会も積極的であった。ついで、1983年1月25日動力炉・核燃力開発事業団(現独立法人日本原子力開発機構)による「もんじゅ」が敦賀市白木に着工された。1962年6月の北陸トンネル(敦賀~今庄)開通に続く大工事の始まりであった。しかし発電所には様々なデメリットがある。特に原子力発電所には放射能汚染の危険がある。それらのデメリットに対してメリットを提示するのが、電源三法による交付金である。
(電源開発促進税法・特別会計に関する法律(旧電源開発促進対策特別会計法)・発電用施設周辺地域整備法)

高速増殖炉「もんじゅ
日本原子力研究開発機構(敦賀市白木) 
福井県電源三法交付金
電源三法交付金 電気事業者寄付金 
電源三法交付金とは電源開発が行われる地方自治体に対して補助金を交付するものである。これによって電源開発の建設を促進、円滑にしようとするものである。1960年代以降、火力発電の比重が高かったが1973年の第一次石油危機によって、火力発電に依存すする日本経済が大きく混乱した。それを受けて火力発電以外の電源を開発することによってリスクを分散し、火力発電への過度の依存から脱却することを目的として制定された。 
 寄附金・交付金(例)




福井県市町村別交付金ランキング
電源三法交付金とともに,電源立地町村には電位事業者(日本原子力発電所・関西電力・北陸電力等)からの寄附金がある。それらの寄附金は当事者間の任意性が高く、個別単発的である。その内容は公表されない場合が多い。その全容は把握することはできない。即ち ブラックボックス寄附金ともいえる。 

市立敦賀病院
敦賀ツルガ病院ビョウインは人件費・放射線ホウシャセン医用イヨウ画像ガゾウ情報ジョウホウ管理カンリ総合ソウゴウシステム機器キキトウ導入ドウニュウ資金が交付されている。敦賀市公式ホームページリンク

敦賀市立図書館
電気事業者寄付金一覧
赤レンガ倉庫
T私企業所有の赤レンガ倉庫を日本原電が4億円で買収、歴史建造物保護のため敦賀市に寄付。現在、市において十数億円を投下して耐震内装工事を施し、内部利用として日本最大の戦前敦賀港・町並のジオラマ、飲食店をテナントとして入れ、観光振興を目論んでいる。

敦賀短期大学
(現 敦賀市立看護大学)
   敦賀市の財政   
  原子力発電所・電気事業者などに、地方自治体が「条例」によって課税できるものには、固定資産税(耐用年数15年)・核燃料税・核燃料等取扱税・核燃料物質等取扱税がある。核燃料税とは核燃料価格の7%を課税するものである。原子力事業への課税には自治体にある程度の裁量が地方税法によって与えられている  
 
交付金利用内訳(金額)
  
 敦賀市の財政は歳出総額を歳入総額が上回っており、実質収支は黒字であり、鶴賀は地方交付税の不交付団体である。敦賀市の財政の堅調さは電源三法交付金によることは言うまでもない。、交付金は包括交付金であり、利用の自由度は大きい。民生事業への交付が多い。財政の豊かさを維持する要因として、自主財源の中の圧倒的な割合を占める固定資産税がある三好ゆう著「原子力発電所と自治体財政ー敦賀市の例ー」参照 自主財源内訳(2007年度)

立地集落の変貌 
  電源三法交付金・電力事業者寄付・そして漁業補償によって直近集落は大きく変貌した。港湾・道路のインフラ整備、田地・山林の売買・漁業補償による現金収入が進められた。本来「過疎対策」が重要な目的であったが、過疎化(人口減少)、漁業の衰退は進んでいる。  

白木峠(車両道路が開通した頃)
原電道路開通以前の常宮神社(イメージ)
市 浦底海岸風景(昭和32年)


「もんじゅ」建設以前の白木集落橋本昭三氏提供
建設中(昭和12年)
市 発電所建設以前の風景(敦賀市浦底)


市 立石の浜辺(昭和35~36年)


市 色が浜風景(昭和32~35年)


市 立石海岸(昭和35~36年)
東京電力福島第一原発事故   
  概要 2011年( 平成 23年)3月11日の 東北地方太平洋沖地震 発生当時東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、日本原電敦賀発電所及び日本原子力研究開発機構高速増殖炉「もんじゅ」に大きな影響を受けている。それは、「安全神話」の崩壊であり、厳しい再検証を要するもんおである。「脱原発」風を受けながら、原子力規制委員会による調査、安全対策がすすんでいる。  
自治体財源の影響  再稼働・活断層  安全対策  敦賀の景況・住民意識 
福島第一原発事故を受けて、福井県・敦賀市における電源三法交付金・電力事業者からの寄附金の減少が懸念されている。自治体は当面の対応として条例によって課税できる核燃料税について、停止中でも課税できるよう条例改正した。また、経営悪化に陥っている日本原電からの寄附金が不透明となっている。 未曾有の原発事故は、原発の「安全神話」が打ち壊された。原子力規制委員会の発足し、原発の再検証が行われている。敦賀原発の再稼働・3.4号炉計画は凍結されている。また、2号炉直下を走る断層を規制委員会は活断層であると見解を示した。しかし、日本原電では独自の調査を進め、規制委員会との討議に入る予定となっている。 福島原発事故後、福井県・敦賀市などの立地自治体は安全対策を進めている。電気事業者である日本原電においても2号炉直下の活断層調査と並行して安全対策が実施されている。
①福井県 ②敦賀市
③日本原電
発電所の再稼働停止・定期検査中断・3.4号炉工事中断による影響は発電所関係会社の人員引き揚げ、発電所取引の激減などになっている。敦賀住民の多くは「脱原発」の危機意識より経済の停滞を懸念している。

市財政の変化 
高浜町や大飯町(現おおい町)と共に、地方交付税(普通交付税)の不交付団体であったが、税収の落ち込みなどのため2010年度より22年ぶりに地方交付税の交付を受ける見通しとなった
古老のつぶやき
船着き場はコンクリートの岸壁になり、街への道路ができて何時でも街に行けるようになった。漁業補償や太閤検地以前からの田畑ををほとんど原電に売って現金が入った。漁業補償も入った。多くの家は新築・増築、慣れない民宿をやった。現金は人を楽にさせる。国の政策だとか、過疎対策だとか言っていたが、しかし、人は減った。漁も沖へ沖へといかないといけない。採算が取れない。孫に漁師をやれとは言えない。福島のことで心配だが、どうしようもない。これで良かったのか、悪かったのか、解らない。春先にはイサダを獲ってから学校に行き、田植え・稲刈りの時など、はみんなで田んぼで昼ごはんを食べた。不便だったがのんびりと楽しかった。
画像提供 博印 敦賀市立博物館 市印 『ふるさと敦賀の回想』より

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